顧客の新規取引先選択プロセス

■インターネット活用期における、

  顧客企業担当者の新規取引企業検討・選択プロセス

 

B to B において顧客がインターネットを利用する目的は、「課題解決のための情報収集」・「課題を解決するために導入すべき製品・技術・サービスの選択基準情報の収集」です。ここで、インターネット活用期における顧客企業担当者の情報収集方法および導入製品・新規取引先の候補を絞り込むプロセスを想定してみます。

 

【ニーズ潜在段階】

 

潜在顧客企業においてニーズが顕在化していない、つまり具体的に解決すべき課題と認識していない段階・今その必要性を感じていない段階を当サイトでは「ニーズ潜在段階」とします。ニーズ潜在段階においても潜在顧客企業の担当者は、自分の業務に役立つ情報を常に探しています。展示会に足を運び、専門情報誌に目を通し、情報源としての WEB サイトに登録し、メールマガジンを購読して最新情報をチェックします。この段階では、展示会出展における資料請求も、専門情報誌への広告掲載による資料請求も、あるいはホームページからの資料請求もすべて「ニーズ」ではなく企業の担当者としての「関心」による行動であり、「業務」としての情報収集であり、「参考情報としての資料」を請求した段階なのです。

ですから、ニーズ潜在段階の顧客は貴社に資料請求した時点で「貴社にとっての見込顧客」となるのですが、この時点ですぐに商談を始めようと思ってもここから先には話が進みません。しかし、展示会で運よく具体的なニーズを持った来場者とめぐり合う可能性もあるように、資料請求者の中に短期間で具体的な商談に進むことができる、「ニーズ顕在段階」の潜在顧客が含まれることも十分考えられます。だとしても、大部分の資料請求者はニーズ潜在段階の見込顧客であることを忘れてはいけません。ここであせってはいけないのです。

せっかく獲得した見込顧客に対して、彼らが嫌う方法・恐れる方法(営業マンによるTELアポ営業)で強引にアプローチしてはいけません。間違っても営業マンに「なにがなんでもアポイントを取れ」などと指示してはいけないのです。ここでマイナスイメージを持たれてしまえば、せっかく貴重な営業予算を使って獲得した営業資産としての見込顧客を逃してしまうことになります。

 

「ニーズ潜在段階の顧客」の情報収集と、「ニーズ顕在段階の顧客」の導入製品・新規取引先の選択プロセス

新規取引先選択プロセス-図.jpg

 

【ニーズ顕在段階】

 

貴社の潜在顧客企業において具体的に解決すべき課題が顕在化した段階、「ニーズ顕在段階」における担当者が導入製品・サービス・新規取引先企業の候補を絞り込み選択するプロセスを想定します。

企業における「ニーズ顕在化」とは、例えば設計技術者が業務効率化の必要性を訴え予算申請に対する稟議が通った場合や、工場長が社長から生産性アップのための提案書を具体的に求められた場合、あるいは従来からの業務委託先企業と何らかの理由で取引の継続ができなくなり早急に新しい委託先を探さなければならなくなった場合などを指します。

B to B 企業、特に生産財メーカーは製品のライフサイクルが長く、一度「ニーズ顕在化」というビジネスチャンスを逃してしまうと、その企業においての次のビジネスチャンスまで少なくとも数年は待たなければならないのです。つまり顧客企業が一度製品・サービスを導入すると、短期間のうちに他社製品・サービスに切り替える可能性はとても低いのです。ですから、潜在顧客企業が新しく製品を購入する機会はそう多くありません。また B to B 企業は既存取引先企業との信頼関係を重視することが多く、取引先(仕入先・委託先)を変更する機会もそう多くありません。ですから B to B 企業の新規開拓営業においては、新規取引先を獲得するためのビジネスチャンスである「ニーズが顕在化した潜在顧客とそのタイミング」をいかにつかむか、いかに営業案件を獲得するかが重要なのです。

 

■企業担当者が、導入製品・新規取引先の候補を絞り込むプロセス

 

第一段階

【担当者は、候補となる企業をリストアップします。】

ニーズが顕在化した企業の担当者は、今までに展示会・広告・ホームページで資料請求をしたことのある企業、役に立つ情報をホームページやメールマガジンで提供してくれる企業、専門情報誌でよく広告を見かける企業などすぐに名前があがる企業(ストック情報)の中から、今回の課題に対して具体的なソリューションを提供できる企業をリストアップし、その企業のホームページをチェックします。さらに、インターネット検索を利用して同様のソリューションを提供している企業を探し、選択肢に加えるべき企業をリストに追加します。

この担当者による候補企業絞込みの第一段階の「土俵」にあがる条件は、「ストック情報」の中に入るかインターネット検索でこの担当者に貴社のホームページを見つけ出してもらうことです。この条件をクリアできなければ、貴社の知らないところで「営業案件獲得の機会・商談という土俵にあがるチャンス」を貴社はみすみす見逃してしまうのです。

もし、この段階でこの担当者がすでに展示会などで獲得した貴社の見込顧客であり、貴社がホームページや電子メールを利用して役に立つ情報を継続的に提供し、その情報に啓蒙され、気づき、担当者として「企業としてのニーズ」を顕在化させたのだとしたら、貴社はこの時点で競合企業に対して圧倒的に優位なポジションを獲得したことになります。反対に、この担当者が以前から展示会や広告などで貴社のことを認知していたとしても、貴社ホームページにこの担当者が求める情報がなく電子版会社案内のままだったとしたら、貴社はホームページからこの担当者を満足させる情報を豊富に提供している競合企業に大きな差をつけられてしまうのです。例えこの担当者がその競合企業をこの段階まで認知していなかったとしても、担当者は求める情報を事前に、適切に提供している企業により好意を持つのです。

 

第二段階

【担当者は、適切な意思決定をするための学習をし、

  判断材料となる資料を請求します。】

担当者は、第一段階の絞込みに勝ち残った企業とそのソリューションに関して、ホームページから得られる情報により「最適な判断をくだすための学習」をします。そして各社のソリューションを比較検討し、先ず資料請求する企業を数社に絞込みます。この情報収集段階では、判断材料は基本的にホームページ情報だけです。インターネット活用期においては、B to B 企業にとってもホームページがいかに重要かおわかりいただけると思います。

 

第三段階

【担当者は判断材料を比較検討し、

  営業マンから話を聞く企業を選択します。】

そして担当者は、資料請求をした各社から送付された資料及び今までに入手した情報(ホームページ情報など)を判断材料として各社の製品・サービスを比較検討し、タイミングが合えば候補企業のセミナーに参加し、最終的に営業マンから直接説明を受ける企業(問合せをする企業・商談に進める企業)を選択します。

B to B では 1 社が単独で商談に進むケースは少なく、数社が問合せという形でこの担当者から連絡をもらうことになります。この段階で担当者はすでに、自分の中で担当者としての意見(採用すべきソリューション)をある程度固めていることも十分考えられます。営業マンが顧客と会う前に、顧客は事前情報で意思決定を済ませてしまうのです。ですから、ホームページ情報と送付する資料が従来にもまして非常に重要なポイントとなります。

営業マンが持参して直接説明することを前提としたパンフレットの作り方を見直して、パンフレット自体が担当者へプレゼンテーションすることを前提に「送付資料」を作成する ことが必要です。キーマンである担当者に、一目で貴社及び貴社製品の強み・導入メリットを理解させることを明確に意識して営業ツールを作成しましょう。貴社のトップセールスマンのプレゼンテーションの重要なポイントを紙面に簡潔に再現するイメージです。

商談が始まる前に、つまり担当者と会うまえに、担当者に対して適切な選択基準情報を提供し、貴社及び貴社製品・サービスをより深く理解していただき好意を獲得することができれば、商談が始まる時点で貴社はすでに競合企業を大きくリードすることができます。例えば、担当者が設計技術者であり業務効率化のために最新 CAD システムの導入の予算申請をしてその稟議が通った場合など、設計の専門家であり実際にそのシステムを現場で使う設計技術者である担当者が推薦する、希望するソリューションである CAD システムに対して、その他の購買関係者がコスト面から口を出すことはあっても、候補製品を選択する担当者は導入するソリューションの決定に大きな影響力を持つのです。

 

第四段階

【担当者は「問合せ」というアクションを起こし、

  貴社にとっての商談がスタートします。】

商談が始まれば、担当者や購買関係者(担当者の上長・購買部門担当者など)に対して、貴社営業マンが製品説明・デモンストレーション・プレゼンテーションを行います。ここで、重要なことがひとつあります。貴社ホームページや送付した資料で提供している情報を、担当営業マンが理解していることが最低限必要なのです。例えば、貴社ホームページに対象となる製品のユーザー事例・導入事例を掲載していたとします。製品説明の際、担当者からその事例について詳しく話を聞きたいという申出があった時に、営業マンは即座に担当者を満足させる説明が出来なければなりません。この場で答えにつまってしまっては大きなマイナス要因となってしまいます。

さて、ここまでお読みいただいて B to B 企業にとっても「ホームページ活用」が必要であり、重要であることをご理解いただけたでしょうか。もしあなたが、インターネットを通常活用していないのであれば、パソコンは苦手でできればさわりたくもないと考えているのであれば、いまひとつピンとこないかもしれません。もしそうであるならば、仕事においてもまた個人的にもインターネットを日常的に活用している社員の方やお知り合いに話を聞いてみてください。

 

■情報の先出し効果

 

「情報の先出し効果」について簡単に説明します。ここでは分かりやすい例として、消費者がプライベートで使う商品を購入する場合を説明します。具体的に、今までカメラを持っていなかった男性(以下 A さん)が、あるきっかけでデジタルカメラを購入しようと思い立ったとします。先ず A さんは、インターネットでカメラの機種・機能と販売価格の相場に関する情報(商品の選択基準となる情報)を探します。そして求める機能・性能と自分の予算さらにデザインやメーカーのブランドイメージなどから、ある程度機種・メーカーを絞り込んだ上で実物を手にとって見てみたいと考えます。そこで、近くの家電量販店に実物を見に行くことにしました。その時点では家電量販店のカメラ売り場では店員と目をあわせないようにします。この時点では自分の中にまだ十分な情報がないので、またこの場で購入する意思がないこともあり、A さんは「売り込まれること」を恐れるのです。一通り目当ての商品を手に取り、大きさや重さなどの情報を得て一旦家に帰ります。そして実物を見たことで絞り込んだ候補商品について、メーカーのホームページやインターネット上の口コミ情報、通信販売の価格などの情報をさらに集め、比較検討し、家族の意見も聞き、奥様から予算を確保し、購入する商品をほぼ決定します。そして購入の意思を持って再度家電量販店に出向きます。この時点では、購入直前の最終的な意思決定のための情報・自分の選択に間違いがないかを確認する情報を求め、前回来店した時には目をあわさなかった店員さんを自ら探すのです。そして、専門家である店員さんからアドバイスを受け、自分の選択に間違いがないことを確認し、納得してデジタルカメラを購入するのです。

こんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。情報社会の消費者は、情報がない時点で大切なお金を払うことはまずありません。情報を探し、自分で比較検討し、自分自身が意思決定をしてからでないとお金は払わないのです。これは B to C だけの話ではありません。費用に対する効果がより厳しく求められる B to B こそ、「事前の情報」・「情報の先出し」が重要なのです。

A さんも会社へ出勤すれば、担当者として企業の予算を使って課題解決のための製品・サービスを導入するのです。数万円のカメラを購入する際にも、情報を収集し、比較検討し、意思決定をする A さんが、数十万円・数百万円あるいはそれ以上の予算を使う際に、選択基準情報を持たないまま営業マンの話を聞くと思えるでしょうか。当然、デジタルカメラを購入する時以上に、慎重に情報を収集し、選択基準を学習し、候補製品を比較検討し、予算に対する費用対効果を検討します。この時点で、A さんに A さんが求める情報を十分に提供した企業、A さんと会う前に導入のメリットや先行ユーザーの成功事例、費用対効果を検討する材料となる情報などを豊富に提供した企業だけが、A さんと直接会って、最終的な意思決定のための情報を提供できるのです。A さんの勤務する企業との「商談」という土俵に登ることができるのです。

顧客と会う前にすべての情報を提供してしまったら、実際に会った時に話すことがなくなってしまうと考えるかもしれません。それは逆なのです。今の時代は、情報を先に出さないと顧客と会うことすらできないのです。

  

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